プラネタリーヘルス(PH)は、SDGsが始まった2015年に著名な学術誌に掲載された比較的新しい言葉である。
プラネタリーバウンダリーズに代表されるような深刻化する地球環境問題への懸念を踏まえた上で、人間社会の健全性と地球環境の状態との相互依存をあらためて認識し、両者の間の持続可能な関係の再構築を目指す、研究と社会実践とを指す概念である。
現在、人類が直面しているTriple Planetary
Crisis(地球の3つの危機)―気候変動、生物多様性の喪失、環境汚染ーは、この相互依存の認識が失われたことに起因するとも言える。
持続可能性を目的とする数あるアプローチの中では、上記の相互依存性、複数課題間のシナジーとトレードオフなど、複数システム間の関係を重視する点、また将来世代へのインパクト、地域・文化に固有の文脈を重視する点に特徴がある。
PHの概念は国内外の教育研究機関、あるいはUNEPなど国際機関で取り上げられ、国家基本計画の柱として の採用例もある。
日本でも中央省庁の文書や大手企業の経営方針にも登場するなど注目されつつある。
今回は、PHの目標実現に資する自然・工学・人文・社会科学を跨いだ学際的あるいは国際的研究の提案を募集する。
問題提起にとどまることなく、地球の3つの危機が人間の健康(メンタルヘルスを含む)・well-being、生活に及ぼす影響を踏まえ、実践的な解決やその方向を示す提案を歓迎する。
例えば、PHの実現に導く技術開発・政策/制度設計・価値体系に関わる研究、科学的知見の政策・産業への活用プロセスに関する研究が想定される。
また、PH概念に特徴的な複数課題(例えば、気候変動と生物多様性など)の対策間におけるトレードオフの抽出やコンフリクトの回避、あるいはシナジー導出、相互依存性の再認識を深める研究なども歓迎される。
さらに、地政学的リスクと地球環境リスクの統合的ガバナンス、PHを実現している地域・コミュニティの社会的・技術的解析も考えられる。
技術イノベーションの社会実装と、PHの実現に向けた社会・環境システムへの波及効果を扱う研究も対象とする。
提案のスケールはグローバル次元でもローカル次元でもよい。
ローカル次元での提案では、グローバル次元への波及可能性についての展望の提示が望ましい。
また、提案内容がいかにPHの実現に寄与するかについての簡潔な説明を必須とする。