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本紙 152.5cm×93.1cm |
絹本著色 善女竜王像1幅 |
大通寺は、9世紀後半に起源をもち、貞応元年(1222)に鎌倉幕府第3代将軍源実朝の妻である本覚尼が夫の菩提を弔うために開創した寺院である。 本作は、鎌倉時代の制作とされる善女竜王像であり、同寺に古来より伝来したとされている。善女竜王は真言密教の請雨経法において供養されるが、儀軌はなく絵画化された例は少ない。久安元年(1145)に絵仏師定智の描いた金剛峯寺本(国宝)の転写本とみられる。金剛峯寺本は現在では経年劣化により図像や彩色が判然としないが、本作は細く流麗な輪郭線と顔料がよく残っており、鎌倉時代に遡る写本として貴重である。 しかしながら、経年により絵具層の膠着力が低下し剥離剥落が進行しているほか、画面に横折れが多数生じて亀裂も進行しており、早急な修理が必要な状態にある。本年度より3ヵ年計画で修復を図る。 |