本紙 107.4cm×354.8cm(4隻とも)

紙本金地著色 蘭亭曲水図

  心院は、真言宗善通寺派大本山の寺院であり、その歴史は平安時代中期に遡り、鎌倉時代からは門跡寺院となった古刹である。

 本作は、江戸時代前期に活躍した京狩野家第2代狩野山雪(1590〜1651)の作と考えられており、同人の代表作の一つである。中国東晋の永和9年(353)3月3日に、王義之が41人の文雅の士を招き、会稽山の蘭亭で開いた優雅の会を描いている。八曲二双というあまり例をみない長大な画面を用いることで、曲水の両岸に居並ぶ40人余の名士をあますところなく描くことに成功している。山雪独自の造形感覚を顕著に示す優れた作品といえる。

 現状は、絵具の剥落と粉状化が著しく、下地に歪みも生じており、本格的な解体修理が必要となっている。本年度より2ヵ年計画で修復を図る。  


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