巻第二

28.8cm×1,495.0cm

十巻本歌合(じっかんぼんうたあわせ)

 「十巻本歌合」は、仁和年間(885〜889)の「民部卿家歌合」(現存最古の歌合)から天喜4年(1056)の「皇后宮春秋歌合」まで、46次の歌合を10巻にまとめたものである。関白藤原頼道の命で編纂されたとされ、現存最古の歌合集成として知られる。成立時期は、後冷泉天皇時代の康平・治暦年間(1058〜1069)とされる。筆者は10数名の寄合書であるが、いずれも当代一流の能書家によるものと推測され、平安時代の歌道史や書跡研究にとってたいへん貴重な文化財である。もとは近衛家に伝来し、5巻が江戸時代に加賀前田家に入った経緯をもつ。

 虫損の補修を目的に表側に裏打ちが施されているが、現況では、経年による裏打紙の硬化を原因とした折れや糊の粘着力低下による剥がれが発生しており、裏打紙の除去などの解体修理を行う必要が認められる。本年度より2ヵ年計画で修復を図る。


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