金剛界三十七尊のうち大日如来坐像
像高 30.1cm

 根来寺大塔安置仏(ねごろじだいとうあんちぶつ)

 根来寺大塔(国宝)は、同寺創建者覚鑁(かくばん)(1095~1143)の意を継いで弟子の覚尋により承安2年(1172)頃に設立されたが、仁治3年(1243)焼失、天文16年(1547)に再建された。天正13年(1585)根来寺は豊臣秀吉の兵火に遇ったが大塔は焼失をのがれた。安置仏はこの時疲弊した境内の復興にあたった僧栄性が追補造像した尊像といわれる。
 日本に唯一現存する中世真言大塔(方5間)の初層に大日如来坐像を中心に胎蔵界中台八葉院諸尊像、上層に金剛界三十七尊像を安置し、全体として金胎不二を具備する羯磨曼荼羅(かつままんだら)を具現している。
 しかながら、造立時から修理されずに伝えられたことにより、初層胎蔵界中台八葉院諸尊像は表面彩色の剥離・剥落が甚だしい状態であり、一方、上層金剛界三十七尊像は近年著しくなった獣による被害や虫孔も認められる。胎蔵界中台諸尊8躯及び金剛界三十七尊のうち23躯について、4ヵ年計画で修復を行っており、本年度は3年目となる。


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