財団法人住友財団設立趣意書


別子銅山は昭和48年に閉山しましたが、その間280余年に亙って稼行し、現在の住友の諸事業の礎となった我が国有数の鉱山であります。

平成2年は、住友家第4代友芳が別子銅山の開坑許可を取得して300年に当たり、これを記念して、人類の豊かな社会建設に資するため、住友グループ20社が基金を拠出することにより、本財団を設立することを決意致しました。

現在、我が国等の先進諸国では科学技術の飛躍的な発展により、繁栄を謳歌しているものの、物質的なものではない心の豊かさ、自然・生活環境、教育、文化、福祉等には、数々の問題が存在しています。また、多くの開発途上国においては、人口増加、食糧、自然環境等、人類の生命維持の上での問題が多く存在し、これらと表裏の関係で国際間での種々の問題も発生しています。

このような人類社会が直面している諸問題は、何れも相互に深く関連しており、解決・改善のためには従来にも増して多面的な取組が必要です。

かつて住友の先人達はその事業推進に当たり、世に先駆けて自然との調和を考え、社会への貢献を念頭に置いていました。

  「自利利他公私一如」、この先人の遺訓に沿って、私どもの事業を展開していくことは勿論のこと、本財団を通じて、人類社会の直面する諸問題の解決に多面的に取組み、国際的な視野をもって、これら各分野における有意義な研究及び事業に対する助成を行うことにより、微力乍ら社会にいささかの貢献を果たしていきたいと念じております。

       平成3年8月21日(設立発起人会日付)


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