2024年度「環境研究助成・課題研究」募集課題

「人類喫緊の課題である温室効果ガスの大気圏への蓄積の抑制に向けた学際研究または国際共同研究」

 新型コロナ禍収束の兆しがようやく見えてきた一方で、世界的食料・エネルギー供給の危機、激甚な気象により益々頻発化する災害など、我々は激動の中に置かれている。特に世界的に極端な気象現象が引き起こされ、持続可能な未来を脅かしており、国連のグテーレス事務総長は、「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代にある」と警鐘を鳴らしている。国際社会は、急務として地球温暖化と気候変動の原因となる温室効果ガスの大気圏への蓄積抑制に取り組む必要がある。

 温室効果ガスの大気圏への蓄積の抑制は、単一の専門分野だけでは十分に解決することが難しい複雑な問題であり、気候、生態系、社会、経済、政策など、多岐にわたる側面が絡み合っている。これらの側面を総合的に理解し関連する情報や洞察を統合するためには、学際的アプローチが必要であり、異なる分野の専門家が協力し、総合的な視点から問題を捉えることが重要である。状況を緩和し持続可能な未来を築くためには、科学的な洞察に基づき、再生可能エネルギーの普及、エネルギー効率の向上、持続可能な農業や都市計画の推進、二酸化炭素の資源化や貯留の推進、温暖化による永久凍土融解・森林火災でさらに加速される温室効果ガス放出への対策、カーボンプライシングの活用など、多様なアプローチが求められる。更にその社会実装の観点では、法制度的、政治的、経済的、社会的な諸要素も考慮した社会の合意形成が不可欠となる。

 本課題研究は、人類喫緊の課題である温室効果ガスの大気圏への蓄積の抑制のための独創的な学際研究を募集する。地球規模あるいは国外の特定地域の課題の場合は国際共同研究が期待される。また、自然科学的アプローチだけではなく、人間行動や社会経済システム変化を探求する人文社会科学的アプローチまたは双方に跨る学際的研究も歓迎する。


©2023 The Sumitomo Foundation