「押絵漆箱」の修復

  ヤン三世王宮美術館は、ポーランド王ヤン三世ソビエスキ(1674〜1696年在位)がワルシャワの郊外に夏の離宮として建てたヴィラヌフ宮殿内にある1805年開館の美術館で、8,500点ほど装飾品や調度品を所蔵している。
  修復助成対象は、17世紀末ごろ(江戸期)の製作と推定される漆箱であり、黒漆で塗られた表面に、風景と植物の絹製の押絵で装飾されたものである。同館には、2016年〜2021年度にかけ蒔絵螺鈿南蛮机、漆盾(たて)、漆櫃(ひつ)、漆盥(たらい)の修復に対して助成しており、本件は5品目となる。
  現状、木工部に大きなヒビが入り、構造上不安定な状態となっており、装飾部についても、全体に汚れ、絹地の摩耗、ほぐれ、破れ、欠損が多々あり、早急な修復が必要な状態である。本品の複雑さや使用材料に鑑み、2年計画で修復を行う。

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