岳翁蔵丘筆「山水図」の修復

 フリーア美術館は、1923年にスミソニアン博物館初の美術館として設立され、日本の作品は、奈良から明治初期まで約6,000点を所蔵し国宝級の美術品も少なくない。
 岳翁蔵丘(生没年不詳)は、周文の弟子にあたるとされる室町時代中期の禅宗の画僧である。本作品は、禅宗の思想と深く結びついた理想郷としての山水が、力強い筆致で描かれており、豊かな量感と揺るぎない構築性を示す優品である。
 現状、全体に染みが広がり、多くの折れや擦り切れが生じており、特に上部と下左部に多くの欠損が認められる。フリーア美術館自ら全面の修復を行うが、1960年の前回修復時に軸装から額装に替えられている為、軸装へ戻す予定である。

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