エジプト国イドゥートの地下埋葬室壁画の修復

 修復助成対象は、エジプト古王国時代の紀元前2360年頃に制作された「イドゥート」という名前の女性のマスタバ墓(マスタバは「ベンチ」を意味するアラビア語で、これに形が似ているエジプトの墓がこのように呼ばれている)地下埋葬室の壁画で、世界遺産「メンフィスとその墓地遺跡」にある最大墓域サッカラの中心に位置する。イドゥートは王の娘とされ、壁画は当時の原色を保った美しいものとして有名である。
 1927年の発見以降、母岩である石灰岩の劣化が進み、壁画の剥落が進行していたが、2005年から、日本、エジプト、ポーランドが共同で修復事業を開始、2005年〜2009年北面、西面、東面の壁画修復が実施された(住友財団2004年〜2008年度の修復助成対象)。その後、2011年のエジプト革命、2013年のクーデター、コロナ禍もあり長らく修復作業は中断を余儀なくされた。今回、残された南面の壁画の修復等を行う。

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