ケルン東洋美術館（ドイツ）所蔵「毘沙門の本地絵巻」中巻の修理

ケルン東洋美術館（ドイツ）所蔵　「毘沙門の本地絵巻」中巻の修理

　十六世紀中葉に制作されたと思われるこの絵巻は御伽草子本地物の代表作で、ケルン東洋美術館には3巻のうち2巻がある。一昨年度修復を行った第一巻と同じく巻末に「清涼時釈迦堂常什」の銘があり、詞書八段、絵七段からなる。
　室町末期制作の当作品は能筆の詞書だけでなく、人物描写なども細部にわたり極めて丁寧に描かれこの手の御伽草子本地物の代表作に上げられる。
　紙本著色の巻子は全体に厚塗りで描かれ、また裏打ち紙も厚いため、折れや皺が多数見られ、絵の具の割れ、下地からの剥落が多数生じており、早急の修理が求められている。修復は日本で行われる。