中国・泗水王陵出土 西漢木質文物の保存

 江蘇省泗陽の泗水漢墓から出土した700点余りの木質文物は、地下に2000余年間にわたって埋められ、出土したすべての文物は飽水状態にあった。主として桐材を使用しているために、木材自体の強度が弱く、木材細胞の劣化が著しく、自然乾燥させると著しく収縮する。しかも、木製文物の表面には、水浸で発見されたにもかかわらず、赤・白・黄・青などの彩色を残している。さらに、木質の表面には漆、金属、顔料などの異なる材料が複合している。
 世界的に見ても、このような複雑な状態で木製文物が大量に発見された例はなく、保管、調査、保存の各段階において、日本の九州国立博物館等各方面の研究機関とも研究協力しながら研究開発、技術移転を行い、保存処理を進めている。
5年計画の3年目に当たる本年度は、大形文物を中心に約40点の保存修理を行う。

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