ケルン東洋美術館(ドイツ)所蔵 「毘沙門の本地絵巻」の修理

 「毘沙門の本地」は室町時代後期に成立した御伽草子本地物の代表作と見られ、当館所蔵の絵巻物はその比較的早い時期(16世紀中頃)に作られたものと推定される。全三巻のうち第三巻を欠き無款ではあるものの、各巻末に「清涼寺釈迦堂常什」の銘があり、伝来のはっきりしている作品である。詞書きはかなりの能筆家の手によるもので、内容に他の比較作品に見当たらない詞書きがあり、その意味でも美術、文学史上大変貴重な例と思われる。
  絵は江戸時代に修復、補修されたようで、その為、一見、江戸時代の作品に見なされる部分もあるが、オリジナルな部分を見れば、やはり室町後期の様式の特徴をよく示す。
 修復作業は日本で行われる。

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