冊子本 (縦16.5cm 横14.0cm)右下の箱の中は「題簽(だいせん)」

 紙本墨書 奥の細道(素龍本)1冊 附 細道伝来記1冊

  松尾芭蕉の紀行文の代表作として著名な奥の細道には曽良本・去来本・柿衞本などがあるが、本書は芭蕉晩年の成稿を能筆の素龍に浄書させて所持し、遺言により去来に渡った本である。題簽(だいせん)は芭蕉自筆と見られる。この本(以下素龍本とする)は芭蕉が認めた奥の細道の決定稿であること、また元禄12もしくは15年に井筒屋から版行した「奥の細道」の初刷本の底本であることから、奥の細道研究の基礎根幹にあたる唯一無二のものとして、昭和47年に重要文化財に指定されている。
 今回の修復事業は、@素龍本と細道伝来記の積年の紙折れや糊剥がれを修復し、芭蕉直筆の題簽を元の位置に貼り直すことにより、芭蕉が所持していたころの形態へ戻すとともに、A素龍本、細道伝来記を現在のように漆箱に収納するのではなく、それぞれ別棚に保管することにより、新たな紙折れを防ぐことを目指す。

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