(本紙 縦24.8cm 横54.3cm)

月渓(げっけい)筆 越前世恒物語自画賛

  松村月渓(1752〜1811)は、日本画の一派である四条派の祖、呉春として知られる人物。月渓の俳号で、蕪村に俳譜と画を学び、蕪村から将来を嘱望される。師蕪村の没後、円山派に接近し写生画へと転向、さらに円山応挙の没後四条派を興し、京画壇の中心となり活躍した。
 本点は、呉春の「月渓」時代の作品で、蕪村に学んだ俳画の作品である。「宇治拾遺物語」に載る「伊良縁の世恒」の説話中の一場面で、女房が下し文を見る様子を描いている。本点のように古典に取材した俳画は月渓が得意とした素材の一つであり、わずかな描線で人物の風格をとらえた、軽妙で洒脱な作風をうかがうことができる逸品である。
 本紙の劣化が著しく、補修が急務の作品。

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