像高86.6cm

木造薬師如来坐像

  本薬師如来坐像は、針葉樹を用いた一木造の像で、奥行きの深い体型、ローブ状の明快に刻まれた衣文、卵形の輪郭をもつ面相部に小さめの目鼻、肉髻と地髪との境界を明瞭にしないこと、脚部と胴部(腹部)との矧ぎ付け部が円弧状をなすこと、などの特徴から、平安時代半ば、10世紀末から11世紀初頭にかけての天台系の作風を有する作例であると判断される。
 現状は、各部の矧ぎ目がゆるみ、干割れをきたした箇所も目立つが、保存修理によって、造像当初の姿をおおむね取り戻すことができると判断される。奈良国立博物館に寄託中であるが、現状では展示は困難であり、修復により展示機会を増やすことが可能となるとみられる。

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