(本紙 縦101.0cm 横36.8cm)

 絹本著色 十字尊号八祖御影

  阿弥陀如来の名前を礼拝対象とした名号幅は、親鸞以来、礼拝の対象として重視されてきた。名号だけを記したものは量産されたが、室町末期から近世初頭にかけて御影が描かれたものが出現し、異彩を放つものとして注目されてきた。
 「帰命尽十方無碍光如来」の十字名号の姿は、親鸞が監修して自ら着讃した籠文字・蓮台付きの十字名号の形式を忠実に再現しており、名号の左右には、親鸞に至る印度・中国・日本の浄土教の祖師の姿を描いている。「南无不可思議光如来」という九字名号の三作例(大阪・宝光寺、愛知・安楽寺、新潟・長泉寺)が知られているが、十字名号とするのは本図が現存唯一である。
 現状、画面全体に無数の折れ皺が生じ、亀裂が随所に認められ、彩色顔料の剥離も激しく、早急に保存修理が必要である。

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