像高 120.6p

 木造韋駄天(いだてん)立像

 本像は、江戸時代のはじめ、わが国に黄檗宗(おうばくしゅう)をもたらした隠元和尚が宇治に萬福寺を開いた際に、中国の仏師笵道生(はんどうせい)を招いて造立した一連の像のひとつである。像容は元朝の宮廷武官に擬えたもので、明朝彫刻を伝える遺品として大変貴重である。
 当時のわが国の仏像にはこのような表現の像はみられない。これ以降同様の特徴をもつ像が全国に広まっていく。これを黄檗様の仏像と称するが、萬福寺に現存する本像および一連の笵道生作の諸像は、その祖となったもので、きわめて貴重な作例といえる。
 現状は、型押文様部の欠失、彩色の剥落等が見られ、復元、剥落止め、充填等を行い、安定をはかる。

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