本紙 縦 85.7 p 横 37.5p

 木造虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)坐像

 本像が所在する茨城県桜川市真壁町の山口地区は、筑波山の北麓に位置するが、筑波山は南都の僧で平安時代初期に東国で活躍した徳一によって開かれたことで知られ、虚空蔵菩薩に対する信仰基盤が形成された地域である。本像もそうした伝統を背景に造立されたと考えられる。
 経年変化によって表面の漆箔に剥落が目立ち、矧ぎ目がゆるみ亀裂が生じるなど大きく尊容を損ねているが、定朝様を踏まえた作風も示す一方、量感のある体躯表現や頭体幹部を一木で造る技法が古様で、制作時期は11世紀後半と考えられる。
 修復は、含浸強化、虫蝕の充填等により木材の強化を行い、欠失部材の新補により尊容回復を図る。

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