縦 26.0p 横 24.2p 高 5.6p

 絹木下家伝来「桐鳳凰(きりほうおう)蒔絵硯箱(まきえすずりばこ)

 備中足守藩木下家は、北政所おねの実兄・家定(1543〜1608)を藩祖とする。外様小藩ながら、明治まで存続した。明治後半陣屋跡近くに地元に残された品々を納める蔵が建てられた。
 本品はこの蔵の再調査により、平成19年(2007)4月に発見された。外箱の墨書から、秀吉が所用したものを、高台院(北政所)より木下家が譲り受けたことがわかる。硯箱の形式や蒔絵の様式からおね没年(1624)までの作と考えてよいものと思われる。
 近世初頭の優れた品であるが、意図ある破壊的な損傷を負っており、後世の修理の際に十分な配慮がされないまま接合されたため、各所に図柄のずれや段差が生じている。修復は、慎重な吟味のあとで形状補正を行い現状維持修理を実施する。

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