像高 95p

 木造不動明王立像

  河内長野市岩瀬の薬師寺は、旧高野街道に沿った山裾にほぼ南面して建つ、本堂のみの簡素な寺院である。その歴史の詳細は不明であるが、本尊薬師如来立像とその両脇侍と目される不動明王立像・毘沙門天立像及び眷属である十二神將像12躯、それと大日如来坐像と釈迦如来立像の計17躯の仏像を安置している。その大半が12世紀から13世紀頃の古仏である。
 今回修復する不動明王立像は、文治2年(1186)運慶が造立した神奈川県願成就院の不動明王像に様式が近い作品で、文化財的価値の高い13世紀頃の優品と思われる。江戸時代の補彩・漆箔により像容を損ねているが、幸い後補・欠損部が殆どないため、修理により当初の姿を取り戻したい逸品である。

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