本紙 縦 73.5p 横 29.6p

 野坡(やば)筆「鶯や」句芭蕉翁像真跡本著色 地蔵十王図

 志太野坡(しだやば)(1662〜1740)は、芭蕉(ばしょう)の晩年の俳風「軽(かる)み」の代表的撰集『炭俵(すみだわら)』の編者として知られる蕉門(しょうもん)俳人。師没後は行脚(あんぎゃ)俳人として蕉風を広め、芭蕉の17回忌や33回忌を営み、芭蕉の顕彰に尽力した。
 本点は、芭蕉庵の象徴というべき芭蕉葉と、墨染姿の芭蕉像を描き、上段に、師芭蕉の吟「冬ごもり又よりそはむこのはしら」を掲げ、自句「鶯(うぐいす)や五文字の来る庵の客」を添えたもの。
 野坡が結庵(けつあん)記念に作成し、新庵に飾ったと思われる。展示効果が高い作品だが、本紙装丁とも劣化が激しく補修が急務のもの。

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