像高  165.5p

  木造十一面観音立像

 南足柄市に所在する保福寺の本像は、県内でも数少ない平安時代後期の十一面観音立像である。
 面相はやや面長で、目は切りつけただけで、上瞼の膨らみとその下にできる影で表し、鼻や唇も小さく柔和。頬や肩など円みを帯び、衣文は浅く典型的な平安時代後期の地方仏と言える。
 南足柄市は神奈川県の西端に位置し、奈良・平安時代から交通の要衝であった。市内には本像の他に28躯の平安仏が安置されており、県内でもまとまって所在が確認されている。これは街道を通じた人の往来と共に仏教文化が伝来し、広がっていく様子を考察する上で重要である。現状仏像表面に、虫喰いによる損傷が認められ、早急な修復処置が求められる。 

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