像高 87.5 p

  木造薬師如来坐像

 山口県防府市の中山地区で自治会が所有する平安時代後期(藤原時代)の仏像である。
 檜材の一木造りで頭・体部に内刳がある。彫眼で、張りのある円相、流れるような衣文線など制作時代の特徴をよく示す秀作である。江戸時代の文献から善蔵寺という古跡の本尊で、聖徳太子一刀三礼の作として信仰されたことがわかる。
 2009年7月山口県や九州北部に発生した豪雨災害により、安置場所が土砂崩れに襲われた。災害復旧作業中に本像の当初材左手が発見されたので、修復は、元来の傷みを改善するのみならず、新発見の左手を本来位置に復元し、造形価値を高める。

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