像高 84.0p)

木造不動明王坐像

 山の辺の道に残る長岳寺(奈良県天理市)は、天長元年(824)淳和天皇の勅願により弘法大師が大和神社の神宮寺として創建された古刹。
 本像は、大師堂にまつられる等身大の像で、均整のとれた体躯や、抑揚を抑えた肉取り、整理された衣文の表現などから平安時代末期の作と推
定される。彫眼から玉眼に改造されたやや無骨な筋肉表現がみられる面相部は、同寺の二天像(重要文化財)と類似した作風を見せ、両像が共に
大御輪寺(だいごりんじ)伝来とされることとあわせて注目される。
 現状は、朽損が著しく、最近になり、虫喰が進行し羂索(けんさく)を持つ左手が自然に脱落するなど損傷が目立ってきた。修理によって原容を回復し、抹消された銘文の解読や、構造技法面などの調査で新たな知見が得られることが期待される。 昨年度から2ヵ年の予定で修復しており本年度で完了する。

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