(本紙 縦 264.6p 横 260.0p)

絹本著色 涅槃図

 寛永7年(1630)開創の臨済宗春徳寺の涅槃図は、中国で明代以降に制作された浙派(せつぱ)の画系に属する作品である。明末から清初にかけて、浙江省寧波(にんぽー)では浙派とよばれる仏画師達が、寧波仏画とよばれる仏画を注文制作したが、彼らはそれまでの伝統的な涅槃図とは大きく異なる独特の構図で制作した。
 その独特な表現の背景には、釈迦の涅槃に不老長寿の道教の不老長寿の思想が重ねたところである。また、韋駄天が釈迦を守護する場面など、黄檗宗の影響も窺える。
 現状は、本紙に亀裂、欠損、横折れが多数あり展示等取り扱い上非常に危険な状態である。昨年度から2ヵ年計画で保存修復を実施し、本年度で完了する。

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