(1巻 16紙  縦 28.6p 横 668.9p)

紙本墨書 観音玄義科(かんのんげんぎか)1巻

 中国天台山の学僧四明知礼(しめいちれい)が撰述した天台典籍で、現在知られるところでは世界唯一の写本。奥書には嘉禎3年(1237)7月2日、京都楊梅大宮(ようばいおおみや)にあった「一乗弘通之法家(いちじ ょうぐつうのほうけ)・十一面観世音菩薩御宿坊(ごしゅくぼう)」において、前年(嘉禎2年)に「了行上人(り ょうぎょうしようにん)」が中国・南宋から初めて日本に将来した貴重本をテキストに書写したことなどが記され、日中仏教交流史に新史料を提供する重要な存在といえる。
 虫損と紙腐り、料紙の欠失が進み、墨の脆弱化が進行している箇所があるなど放置できない損傷が多いため、昨年度から2ヵ年計画で保存修理
を実施しており、本年度で完了する。

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