本紙 縦 136.0 p 横 126.0p

  絹本著色 草虫図

  本図は、作者は不詳ではあるが、中国元時代の花鳥画であり、北宋・南宋時代の画院の流れを受け継ぐ正統的な描法で描かれた作品である。こうした元代院体系花鳥画の遺作は、数の上ではけして少なくはないが、これほどの横物の大幅は珍しい。
 伝来も松江藩筆頭家老の乙部家旧蔵品であり、そのことは掛軸の外箱を納める秩の全面に施された古更紗(俗に「乙部更紗」という)によってもわかる。菊屋家に所蔵されるようになったのは、幕末期からとみられ、所蔵の他の中国絵画とともに一括して購入したという口伝がある。
 現状は、横折れによる損傷がひどく、折れから亀裂、剥離、剥落も進みつつある。このままでは、壁面に掛けることが不可能な状態で展示公開ができない。

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