本紙 縦 19.1 p  横 59.1p

  芭蕉筆「許六(きょりく)離別詞(りべつのことば)

 芭蕉(ばしょう)(1644〜1694)はわが国の文学史上に傑出する俳人で、代表作「奥の細道」は今も多くの人々に愛読されている。本点は芭蕉晩年の芸術論を知る上で貴重な資料であるばかりでなく、美術品としても評価が高い。元禄6年(1693)、江戸を離れて彦根に帰藩する彦根藩士で門人の
森川許六(もりかわきょりく)に贈った芭蕉の餞別(せんべつ)文。許六が芭蕉の絵の師であったことや、「予が風雅(ふうが)は夏炉冬扇(かろとうせん)のごとし」「古人の跡をもとめず、古人の求めたる所を求めよ」といった芭蕉の名言としてしられる言葉も本点に基づく。芭蕉画の落日(らくじつ)・萩(はぎ)・薄(すすき)の図が下絵として描かれており興味深い。
 本紙全体に折れが多い上、磨耗で薄くなったところが多く、表具にも破損がある。出展依頼の多い作品のため本年中に修復完了となる予定。  

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