躬恒(みつね)集 46丁 (本紙 縦 22.7p 横 15.4p)

私家集

 冷泉家に伝えられた私家集4巻83冊196帖は、わが国の和歌文学の根本資料として極めて貴重なものである。その多くは現存する流布本の親本であり、冷泉家本なくしては、現在の和歌文学の存在は考えられないものである。
 本年度修復予定は平安私家集の内4帖。「躬恒(みつね)集」「元真(もとざね)集」「朝忠(あさただ)集」はいずれも鎌倉時代中期の写本であり、書陵部蔵本の親本である。
 平安時代の女流歌人本院侍従(ほんいんじじゆう)の物語的私家集である「本院侍従集」は、室町時代中期の写本であり、伝本二系統の内、書陵部蔵本系の親本にあたる。冷泉家所蔵の平安私家集としては例外的に新しい時期の書写であるが、この系統の本は、該本と江戸時代前期にこれを忠実に書写した書陵部蔵本しかなく、極めて貴重である。
 いずれも虫損等甚だしく、開披にも危険を伴うため、本年度より3ヵ年の計画で修復する。 

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