像高 31.0p

木造聖観音菩薩坐像

 来薫院は愛知県一宮市にある、妙興寺(みょうこうじ)(妙興報恩禅寺(みょうこうほうおんぜんじ))の塔頭(た っちゆう)で、妙興寺住持古伯眞稽(こはくしんけい)
の退休庵として創建されたと考えられている。明確な創建年代は不明であるが、古伯禅師は寛正2年(1461)に遷化しているので、遅くともこの時までには成立していたと考えられる。
 本像は檜一木造りで、平安末期から鎌倉時代前期にかけて造顕されたと考えられる。卵形の面貌で、小像ながら爪先まで神経の行き届いた優品だが、頭体幹部を後補の彩色に覆われて尊容を害しており彩色除去を実施する。また形状不適合の両肩外側部や、両手先の新補を実施する。
 今回の彩色除去作業で、像の制作年代を含めて新しい知見を得られる可能性がある。 

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