(本紙 縦 46p 横 16p)

絹本刺繍 地蔵菩薩像

 本作品は、黄檗(おうばく)第4代濁湛性瑩(どくたんしようけい)の法嗣化霖
道龍(けりんどうりゆう)(1634〜1720)の題賛となる地蔵菩薩像である。黄檗寺院には、高僧の誕生日を祝う寿章等、表装に鮮麗な刺繍を施した掛け幅がいくつか中国から伝来している。図像が刺繍でかたど象られている点、また32体の古篆(こてん)書体の一種で絹糸で色分けされた賛文(28文字)が記されている等から、中国で作られたものと思われ、他の黄檗寺院におい
ても類例のない貴重な作品である。
 化霖禅師は、天和2年(1682)肥前蓮池藩主鍋島直之に請われて龍津寺(りゆうしんじ)の開山となっている。本作品は同じ領内の彿心寺の本堂の柱に掛けられていたものである。
 現状は、図像・賛文ともに傷みが進行し刺繍糸の劣化も著しく、保存上の見地から、現在の掛幅装を改め下地を新調、本紙を台張りにする。
 

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