(本紙 縦 108.9p 横 55.6p)

絹本著色 羅漢像

 奈良県桜井市の能満院は、同地にある長谷寺の塔頭(たっちゅう)の一つ。本図は、中国の元時代(13〜14世紀)に製作されたと考えられる仏画で、墨書銘より当時中国浙江省(せ っこうしょう)寧波(にんぽー)の画家陸仲淵(りくちゆうえん)の筆になることが判明する。
 寧波仏画ならではの優れた絵画表現と、羅漢が右手に持つ如意で背中を掻く姿を描くという貴重な作例となっている。
 現状、経年により画面全体に強い折れが生じており、折れ山が擦れることによって絵絹の欠失、剥離や剥落が相当進んでいる。さらに絵絹が欠失
した部分のうち、場所によっては補絹が全くなされずに肌裏が露出するなど、著しく危険な状態に到っている。

Copyright (C) The Sumitomo Foundation. All Rights Reserved.

前ページに戻る