胎蔵界  本紙 縦 83.6 p 横 82.1p

絹本著色 敷曼荼羅図(しきまんだらず)2鋪

 琵琶湖の東岸に所在する天台宗の古刹、「湖東三山」のひとつとして知られる西明寺には、中世に制作された両界曼荼羅が2組存在する。
 このうち敷曼荼羅図2鋪 は、金剛界・胎蔵界の部で構成されており、よくまとめられた構図からは、伝統的な仏画の手法を受け継いだ謹厳な作風が窺える。両部共に延暦寺との関係を示す裏書きがあり、室町時代初期に制作された事が明らかな、宗教絵画研究上価値の高い敷曼荼羅である。
 いずれも保存状態が悪く、強い巻癖がついている。特に料絹と肌裏紙との接着関係が著しく低下損傷が進行している。また、彩色層の剥離・剥落
が顕著であることから、剥落止め、絹の補填等を行う。昨年度から2ヵ年の計画で修復しており本年度で完了する。

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