本紙 縦 142 p  横 73p

絹本著色 釈迦十六善神像

 愛知県稲沢市の萬徳寺に伝わる釈迦十六善神像は、中央に釈迦如来を大きく描き、周囲に十六善神と老人・天部・玄奘三蔵・深沙大将をあわせて描く図で、一般に見られる画像と共通するが、釈迦如来の脇侍としての文殊・普賢の二菩薩が描かれていない点が珍しい。釈迦如来は悉皆金色(しっかいこんじき)に表され、着衣には、さまざまな截金(きりかね)文様が細かく施され、華麗に表されている。蓮華座の蓮弁に着衣が掛かって下がる様子が立体的に描かれているところなどに伝統的な古い描法が見られる。描法の特徴から本図は十六善神図の図像変遷上、新旧交代期に相当する遺品であろうとみられる。鎌倉時代13世紀後半から14世紀初期のおそらく宅間派系統の絵師の作品と考えられる。
 本紙が弱って折れ皺が全体にみられ、顔料の剥落・変色もあり、状態は良好とは言えず、早急に修理する必要がある。

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