像高 96.5 p

木造不動明王立像

 本像は、もと鹿児島郡伊敷村(現鹿児島市)の不動堂にあった不動明王像で、天保10年(1839)に不動院住持によって修理されたことがうかがわれ
る。明治36年頃、不動堂廃寺によりまさに消却されようとしたところを、今の南洲寺に移された。
 鹿児島県は明治維新の際に、神仏分離令を受けて徹底した廃仏毀釈を展開した地域として全国的にも名高い。当時は、仏像のみならず寺院さえも徹底的に破却された。そのため仏教美術品の伝承されているものは極めて少ない。県文化財指定の彫刻類は、破却焼却を免れた尊像の探査を重ねたにもかかわらずわずか11件のみで、本像はその中の貴重な1件。
 現状は像全体に彩色の浮き上がり剥落が見られる。また各矧ぎ目の緩み離れが生じ特に面相部と両足先が著しい。

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