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大淀三千風(おおよどみちかぜ)筆 「冨山氏築山褒美之詞(とみやましつきやまほうびのことば)

  大淀三千風(1639〜1707)は、芭蕉と同時代に活躍し、俳諧史上、特異な地歩を占めた俳人である。 その功績は、仙台俳壇の先導、大磯・鴫立庵の再興、「日本行脚文集」の刊行など。全国各地の俳人に大きな影響を与えた人物でもある。
 この作品は、元禄3年(1690)故郷伊勢国射和の富商で、支援者でもあった冨山氏の築山の完成したのを祝し寄せた俳文で、仏典、漢詩文などの漢語を多用し、実際に見聞した諸国の名所の風光も巧みに織り込み、三千風ならではのレトリックと筆跡で綴られている。全長6メートルに垂んとす
る本巻を見るとき、この築山もまた、三千風の諸国行脚の体験を活かしたものであることが判る。
 巻子本として保管されてきたが、虫損や糊離れなど経年の損傷が目立ち早急な修復が必要。

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