私家集他1件

 冷泉家に伝えられた私家集4巻83冊196帖は、わが国の和歌文学の根本資料として極めて貴重なものである。その多くは現存する流布本の親本であり、冷泉家本なくしては、現在の和歌文学の存在は考えられないものである。本年度修復予定の「元輔集」「主殿集」「能宣集」はいずれも平安時代後期から鎌倉時代前期までの写本である。                                藤原定家の姉・坊門局筆で定家の手沢本「元輔集」と冒頭部が定家筆の「主殿集」は、特徴的な表紙を持つが、本紙と共に、虫損や折れ、波打ちが目立つ。坊門局筆「能宣集」は、本紙の虫損による傷みが甚だしい。
 これらの時雨亭文庫本は、書陵部本の親本と見なされており、それぞれの家集を考察していく上で貴重なものである。昨年より3ヵ年の計画で修復しており、本年度は2年目となる。

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