忠度朝臣集 18丁 (縦 22.1cm  横 14.9cm)

私家集と大鏡

 冷泉家に伝えられた私家集4巻83冊196帖は、わが国和歌文学の根本資料として極めて貴重なものである。冷泉家本なくしては、現在の和歌文学の存在は考えられないものである。
 今回修理が予定されている「土御門院女房(つちみかどいんにょうぼう)」「忠度朝臣集(ただのりあそんしゅう)」「二条院讃岐集(にじょういんさぬきしゅう)」はいずれも鎌倉時代中期の写本である。この内「土御門院女房」は新出資料として貴重である。「忠度朝臣集」は、異文の多い「忠度朝臣集」研究の礎石となる資料である。「二条院讃岐集」は、総じて仮名書きの部分が多く、本集の原初形態をよくとどめていると考えられる。
 一昨年度から引き続き修復が行われている「大鏡」3帖は、本年度で修理が完了する予定である。平安時代後期成立の歴史物語「大鏡」は、藤原道長を中心とする藤原氏の栄華を記したもので、損傷甚だしい状態であったが、本格的修理によって本文解読が可能となり、学術的意義も大きい。

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