(本紙 縦 144.3cm  横 109.5cm)

絹本著色釈迦誕生図

 本岳寺所蔵の本作品は、もとは博多・聖福寺の什物であり、元禄年間以降は本岳寺に伝わったものである。
 鮮明な色彩を特徴とし、加えて細密な表現の優秀さにおいても李朝時代(15〜16世紀)の仏画を代表する作品である。釈迦の伝記のうち、誕生の場面を描く本図は、元来は八幅あるいはそれ以上からなる連幅の釈迦八相図のうちの一幅と考えられ、類例の少ないこの時代の仏伝図として重要である。
 しかし絵の具の剥落、横折れ等損傷は著しく、掛幅の開閉に際して顔料や本絹が欠落する恐れがあるため、展示に大きな危険が伴っていた。
 修復後は、新設の九州国立博物館において、日本と朝鮮の文化交流を示す重要な作品として定期的に陳列され、本図の歴史的意義が積極的に紹介される予定となっている。

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