(本紙 縦168.0cm  横141.0cm)
十一面観音坐像
 本坐像は、水軍領主として鎌倉時代末期から日置川(ひきがわ)町南部の安宅荘(あたぎそう)を支配した、安宅氏(あたぎし)の菩提寺寶勝寺の本尊で、像内背面にある文和3年(1354)の墨書銘が制作年を示す南北朝時代の基準作である。
 江戸時代に施された後補の彩色が全面を覆って当初の彫刻面を確認できない状態にあるが、南北朝期より活躍した安宅氏との密接な関係の中で造立され、地域の歴史を考慮する上で重要な作例であり、また十一面観音坐像として紀年名を有する作例は全国的に類例が少なく、貴重である。
 現状各部材の矧目がはずれ、特に体幹部材と膝前材が分離しているため自立出来ない状態で、緊急の修復が必要。

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