鶴毛陣羽織

（身丈　72.3cm　肩幅　54.0cm)

つるげじんばおり

鶴毛陣羽織

　高山市にある素玄寺は、初代高山城主金森長近菩提のため、慶長14年（1609）その子可重(ありしげ)によって建立された。
　本品は可重が鎧通銘吉久(よろいどおしめいよしひさ)、軍扇等の品々とともに素玄寺に寄進したもので、金森長近が豊臣秀吉から朝鮮役の恩賞として拝領したものと伝えられている。
　全体を鶴の白毛でおおい、前両脇裾に一個ずつ、背面裾に３個の円形模様を黒毛であしらう。裏地は、黄茶色の絹に菊と桐の刺繍を施す。肩当綴織、襟の金襴は後の補修と考えられる。
　現在鶴毛自体は安定しているが、鶴毛の根元を結んである部分が脆弱化し、抜け毛が起きる状態となっている。また経年による傷みで裏地裂が中央部で切損、肩当て部の綴織も破損している。