(本紙 縦 33.8cm  横  958.2cm)

            ふくとみちょうじゃものがたり

紙本著色 福富長者物語

 常福寺に伝存する福富草子は、作者は不明であるが、室町中期の書写と推定されている。物語の内容は、放屁を生来の特技とする福富織部の富裕になるのをみた隣家の乏少藤太が、年上の女房の羨望嫉妬に唆されて、織部の弟子になり放屁の術を習うが、今出川の中将の屋敷で失敗し、手酷い罰を受けるというもので、嫉妬の戒めと因果応報、宿業の観念が説かれている。
 この福富草子は書写の時代が古く、春浦院本・大東急文庫本等二十数本存在する伝本と絵や文を対校できる資料で、文化財的価値が高い。
 現状は絵の一部脱落や、巻首に手擦れによる文字の不明箇所がみられ、欠落部分の補紙、肌裏増しの裏強化等の補修を行う。

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