(像高60.7p)

木造僧形坐像

 宝亀2年(771)の創建といわれる南明寺の所蔵する本像は、像高約60pの坐像で、像の大半を桧の一材から彫成し、内刳りしない。この構造や組み合わせた両足首部が深く入りこむ形、太く刻み出されたロープ状の衣のひだの彫法、肉厚で抑揚ある体型など、平安時代中期の特徴を示している。作者は不明であるが、10世紀後半頃の優品と考えられる。
 現状は全面に赤色を塗られ、賓頭虚(びんずる)尊者として安置されていたが、当初の賦彩ではなく、尊名も時代から見て聖僧文殊として制作された可能性が考えられる。
 今回の修復では、後補の彩色を出来るだけ除去し、また改変された姿勢の復旧を行う。

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