(本紙 縦154.05p 横114.3p)

絹本著色唐絵涅槃(ねはん)

 並瀧寺は、天平5年(733)聖武天皇の勅願により、僧行基が開基したと伝えられている古刹である。
 図像は、鎌倉時代以降に一般的になった涅槃の場面を描いているが、その表現は形態を描く墨線を強調した独特のもので、唐絵涅槃像と伝承されたのもそのためである。また涅槃の場面の多くは、摩耶夫人一行は右天上にみられるが、ここではそれが左天上に表現された特異なもので、和様化が著しく進行している。こうした特徴から、制作年代は室町時代後半と考えられ、広島県内で最も古いものの一つに数えられる。
 現状画絹の折れ、絵具の剥落がみられるので解体し、折れの補修、絵具の剥落止めを行う。

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