(本紙 縦106.2p 横46.8p)

伝王淵(おうえん)筆 立花図

 本図は現存する中国の草花図の古い作例として貴重であり、吉祥図の古い作例としても注目すべきものである。古くから元時代の杭州の職業画家として著名な王淵(王若水)の作として伝わったが、これは日本に舶載されてから付された伝称と思われ、本図の画風は、むしろ、元時代の新しい
画風を示した王淵のものというより、杭州を中心とする浙江地方の花鳥画の伝統をよく示している。日本における立花図の成立と展開を考察する上でも重要な作品といえる。
 本品は、昭和25年以来、東京国立博物館の寄託品となっているが、本紙、表具などの損傷が著しく、近年は展示が控えられている状態である。

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