(本紙 縦107.3p  横53.9cm)

絹本著色楊柳観音(ようりゅうかんのん)

 本図は、中国の元時代(14世紀)に制作されたと考えられる仏画として希少な遺品で、作者は不明、円生院に伝来の事情も不明である。
 補陀落山の楊柳観音を表し、絹本に、像など大部分は濃厚な彩色を施すが、背景の水墨的表現に時代の傾向を示す。
 善財童子、龍、韋駄天など種々の要素を配するうち、観音の左脇に、布袋風の像が配される点で特異である。しかもその像の彩色がやや剥落した下に、緑袈裟の僧と青袈裟の僧が二重に認められ、二度にわたって図様が修正されたことが判る。
 経年により画面に横折れが目立つようになっており、折れ山に切れが生じたところもあり、危険な状態にある。また、絵具を塗り重ねた修正部分
に顕著なように、絵具の剥落が進んでおり、剥落止めが必要。 

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