(本紙 縦78.6p 横37.0p)

絹本著色聖宝僧正像
  東日本では比較的少ない醍醐寺の開基聖宝僧正の肖像画で、円覚寺の第26世住職が明治13年に醍醐寺より贈与されたもの。
 七条袈裟を身にまとい、右手に五鈷杵を執り左手は衣端を握る坐像で、醍醐寺系通例の像容だが、その描写は堅実で、面貌着衣の表現はすぐれている。また、形態や描線、賦彩などの表現上の特徴から16世紀以前に制作されたと判断され、絵絹や色紙形の装飾文様などの諸要素もそうした年代推定を裏づけている。また、寺伝と裏に貼り移された古様な墨書などから、元来醍醐寺に伝来したことが明らかな点も評価できる。
 画像の現状はかなり危険な状態で、画絹の断裂や欠落が顕著、画面全体に黴が付着しているほか、前回修理の際の稚拙な補修部分が目立つ。

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