(本紙 縦313p 横456p)
紙本著色釈迦涅槃図
釈迦涅槃図は、釈迦が入滅のときの情景を描いた仏画で、横臥する釈尊のまわりに多勢の仏弟子たちが集う、壮観な図様に特色がある。この作品は、江戸前期の制作で、縦3m余、横4.5m余に及ぶ巨大な画面を誇り、恐らく遺品中最大の作例とみられる。画面の大きさばかりでなく、それに適合した雄渾な筆線と鮮やかな彩色を駆使し、造形的にも優れている。
画中の落款から、江戸狩野の大御所狩野常信の門人で松本藩の絵師、笹田常住(養跡)の作とわかり、当時の信州における地方絵師の動向を知る上にも貴重な資料である。
稀にみる大幅のため、扱いや保存に難をきたし、画面に大小の折れや巻き皺を生じ、特に釈迦の顔面と胴体を中心に危険な状態にある。

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