第2幅 
本紙 108.9cm×46.0cm

天満宮縁起画伝(がでん)(延寿王院本(えんじゅおういんぼん))12幅

  本作は、太宰府天満宮周辺で制作され、菅原道真の大宰府配流から没するまでの独自のエピソードを多く含むことが特徴の「太宰府系天神縁起」の一作である。太宰府系天神縁起は、現在10例ほどが知られているが、本作はそのなかでも12幅からなり55場面を備える大作である。太宰府天満宮の社家(しゃけ:世襲の神職の家柄)である大鳥居家に伝わった本作は、昭和初期まで年2回、神職による絵解きが行われていたと伝えられており、実際の使用の場が知られる点でも重要である。画風は正統的なもので、道真やそれを取り巻く人々を表情豊かに描く。12幅中6幅に捺された印章から、江戸時代福岡藩の絵師泊守治の筆と判明しており、太宰府において独自に発展を遂げた「太宰府系天神縁起」の貴重な作例である。

 しかしながら、本図には強い折れが目立ち、掛幅の開閉に際し本紙が欠落する恐れが生じている。4ヵ年計画で修復を行っており、本年度は2年目となる。 


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